ユラグドシル
ゆらぎとは、ある量の平均値からの変動をいう。
[Wikipediaより]
物理学。素敵な学問。目に見えたり見えなかったりする学問。摩擦力を考慮しないものとした世界なら、きっと永澤の人間関係も良好だ。
1/fゆらぎと言う言葉がある。ざっくり言うと、心を穏やかにする揺れ。これは声にも存在する。音楽界では、美空ひばりや宇多田ヒカル、森本レオの声がそれに当てはまるらしい。
当然、1/永澤 ゆらぎもある。この人の声いいなってなること。特に顔の見えない世界では情報量が少ないせいか、琴線へ触れることが多い。歌手やラジオやスポーツの実況・解説、ゲーム実況者から配信者まで色々とある。さらにその声が並べる言葉の意味が素敵であれば、尚のこと興味深くなる。
いわゆる声フェチでもない、ごく普通フェチな私でさえマイゆらぎを持っているのだから、きっと1/みんな ゆらぎもあるはずだ。あの声優さんとかいつも一緒にボイスチャットをしてるあの人とか。
声発信で興味を持った人の顔を見るか問題は、全宇宙で共通の課題だろう。一般人さえもが発信者となったこの大メディア時代では、それを望めば簡単に見られる可能性は高い。もはや避けては通れない問題である。
以前とったアンケート、
「声しか知らない相手、顔も見たいですか?」
見たい:4割、見たくない:1割、どうでもいい:5割
半分はどうでもいいと思ってる。ここからは、残り1割との共感を求めて進んでいく。
別に「顔がイケメンや美人じゃないと嫌だ!」なんて陳腐な話じゃない。形成された幻想を壊したくないのだ。
せっかくなので分かりやすく説明したい。
仮に『松木安太郎』氏の声に心惹かれたとする。当然顔を知らない前提で。好きなのはその声と発する言葉、そして情熱だ。
ある日見ていたサッカー日本代表の試合。なんだこの熱い声の人は。永澤がゆらぐ。きっとこんな出で立ちで、背景を持ち、意思や熱意があるのだろうと様々な想いを馳せる。この瞬間『松木安太郎』は、1/永澤となる。私だけのオンリーオリジナル松木安太郎だ。
しかしあろうことか、後日Yahoo!ニュースで『松木安太郎』氏の顔を見てしまう。その瞬間、私だけが所有していた1/永澤オンリーオリジナル松木安太郎がいなくなる。自発的だとか事故的だとかは関係ない。現実と、思い描いた安太郎とのギャップの大小も関係ない。本物を見てしまった事実、これでおしまい。魔法は解ける。もうどこを探しても見つからないのだ。
残念ながらそれは、みんなが持っている『松木安太郎』とおんなじだ。1/みんな 安太郎に取り込まれてしまった。どうあがいてもその視点はもう変えられない。誰にも負けない情熱を持ち、私だけの松木安太郎を応援してきたのに。
みたいな。悲しくない?
まぁ隠れゴシッパーとしては、見られるもんは見ときたい気持ちの方が強いけどね。
いい声っていいよねってことを書きたかったのにグラグラになってしまった。申し訳ない。
揺らがない芯の通ったことをちゃんと書けるようにしたい。そう、あの大きな世界樹のように。
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