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誰もいなくなるまで ここにいるよ

ジョーカー を観たよ

映画『ジョーカー』を観た話とその感想について。

 

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※ネタバレ薄め 

 

去年のいつ頃上映されていたかは覚えてないが、私の各所タイムラインで凄く話題になっていたことは記憶に残っている。どうやら色々凄い映画らしい。そう思っていた。

良く分からないアベンジャーズ的な、アメコミ発ですよシリーズ(大きく括ればきっとそう)で数少ない知ってる人、顔と名前が一致する人の一人、ジョーカー。ダークナイトに出ていた。悪い奴なのに魅かれちゃう系、きっと「サイコパス」なんて陳腐な言葉で表現するのも申し訳ないぐらいダークな魅力があり、世界中で人気を誇っているだろうキャラクター。そんな彼が主として描かれる映画はきっと面白いに決まっている。でもなんやかんやで劇場へ足を運ぶことはなかった。永澤はその程度の人間だ。何が映画好きだ。

 

 それから数か月経った先日、ようやくこの映画を観ることができた。アカデミー賞の発表がなければ、最早金曜ロードショーで放映されるまでその存在を忘れてしまっていたかもしれない。Amazonはいつも、心地の良いタイミングで観たかった映画をおススメしてくれる。

満を持しての初ジョーカー、一週目のチャレンジは20分程で寝てしまった。最近このパターンが非常に多くて辛い。何も情報がない状態で映画へ臨むと、物語の輪郭を掴むまでに脳が耐え切れず寝落ちしてしまうのだ。本当に人として劣化してしまったと思う。これが映画館内での出来事であれば、得意先との会食中に居眠りしてしまうレベルの背徳行為。マジ許されない。

日付を改め二週目のジョーカー、無事に通しで全部観切った。同じ轍は踏まない(そこが永澤氏の素敵な部分だと思う)。どの映画もそうなんだろうけど、30分超えたあたりから物語が動き出す。分かっているはずなのに、そこへ追いつくまでの大変さが日に日に増しているように感じる。娯楽と言っても簡単なものはないんだなぁとしみじみ思う。

 

 

内容に関して、

それほど多くはない登場人物で、初心者な私にも分かりやすいストーリーだった。一人の優しげなおじさんが裏切られ傷つき、どんどん深い闇を抱え、ジョーカーとなる。全体を通して報われない辛く悲しい流れであったが、不幸度が飛び抜け過ぎていて、納得ジョーカーなるほどジョーカー、大なり小なり共感はできなかった。(共感するような映画ではないのだろうけど)それでも鑑賞後は、どことなくスッキリした気持ちになった。うまく説明はできないのだけれど。

きっと、この物語中にはたくさんの問いかけがあったのだろう。もっと、感受性豊かならばより多彩な心の揺らぎを感じ取れたのだろう。あれ程話題になっていたんだ、何かしら私の気づかない(気づけない)部分に重要なテーマがあったはずだ。

でもでも私は上澄みだけ、「陰鬱としたことばかりだったけど、何か最後はスカッとしたよね」程度の感想でいいのかなと思っている。元より映画を観て、何かを学ぶ(教えられる)等の表現は苦手だし、必要性も感じなくなってきているし。気になる疑問や違和感は、インターネットに溢れた有象無象の感想レビュー記事を見て一喜一憂するのだ。

nagasawan.hatenablog.com

 

 

最後に、

アーサー(ホアキン・フェニックス)が凄かった。演技のいろはもABCも分からない私だが、緊張すると笑う症状、ネタ帳を肌身離さず持ち歩いている描写は何だか心に刺さった。画面越しの全く交わることなどない世界なのに、彼のコミカルな風貌/風景や演技力も相まって、身近にいたらマジにやばい人感の醸し出され具合がビンビンに伝わってきた。同時に、何の背景も知らずに思い込みでやばい人判定をしてしまう自分、されてしまう世界に危機感を覚えた。危機感?焦燥感?みたいな。

そんな中終盤のシーン、様々な苦難の末にアーサーは腹を括り、TV出演へと向かう。この一連の映像はとても素敵で印象的だった。アーサーはノリノリでメイクし、色々あって、衣装を整え、ジョーカーとして踊りながら階段を下る。他チャプターでも転機時に踊って心を冷静に保つ?場面はあった。けれどやっぱりこの階段ダンスのシーンこそ、最も紙タバコが美味しそうで、全ての光も闇も美しい景色。そしてこの後きっとワクワクする結末がやってくるだろう高揚感。映画「ジョーカー」の最大風速の瞬間だった。

 この映画を見たことで得られるもの、変えられるものがあるかは上記の通り全く分からない。それでも私は、非常に面白い物語として十分楽しめた。上映当時そりゃ話題になるはずだ、みんなに勧めたくなる傑作だから。またいつか、ジョーカーが主役な映画を観られればいいなって思う。

 

 

1909